画廊喫茶モナミ

少し前のことになります。
私の生まれ故郷である福島県いわき市勿来町へ
一人、訪れる機会がありました。

勿来には、どうしてももう一度行かなければならない、心残りな喫茶店がありました。
父が生前によく通っていたと思われる、喫茶店モナミです。
私は直感的に、ここへ行けば父に会えると思っていたのです。

店内に入り、椅子に腰かけた瞬間、
働き盛りの30~40代頃の父が確かにそこに居るのを感じました。
セブンスターを吸いながら、定番のウィンナーコーヒーを飲んでいる光景が目に浮かびました。

そして、父がよく注文していた厚切りのピザトーストを頼みました。
聞けば、創業から30年近くも、まったく同じ品ぞろえとレイアウトでお出ししているとのことでした。
ひと口ひと口、いろんなことを考えながら噛みしめていただきました。

私はマスターに話しかけました。
「生前の父がよく通っていたもので、懐かしくて来てしまいました。」
父の人物像を少しお伝えすると、マスターは少し考えて、
「もしかして、北海道出身の?」
と、父を思い出してくださったのです。
もう20何年も前のことを覚えてくださっていたことに、私は嬉しくて泣きました。

それからマスターの奥様も会話に加わって、
私たち家族5人がたまにここへ来ては、
決まってシーフードピラフを注文し、
食べ終わるとせっかちになる父を知っていた奥様は、
父の分は一番最後に持ってきてくれていたことを聞きました。
母は3人の子供を見ながらの食事だったので、
ゆっくり味わえる様子ではなかったことなど、
当時の私たちをそうやって見ていてくれたことが、
嬉しくてたまりませんでした。

喫茶店モナミは、正式には『画廊喫茶モナミ』といいます。
マスターの趣味で、様々な経歴をお持ちの作家さんの絵が飾られていて、
コヒーを飲みながら眺めるのに調度よい空間でした。
子供の頃も、なんとな~くどうしてここに絵が飾ってあるんだろうと思ってはいました。
もしかしたら、今の仕事の原点となる習慣がここで身に付いたのかもしれないな~とも思いました。

いつかまたここへ来て、
マスターと奥様と話しをさせていただきたいと思います。

モナミのピザトースト

モナミのご主人と奥さま


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